Phase3試験の結果、学術雑誌に

医薬品の承認申請前に行われる第三相臨床試験*1の結果が、査読のある学術雑誌に投稿されることになりました。「臨床試験結果の学術誌発表に関する共同指針」"Joint Position on the Publication of Clinical Trial Results in the Scientific Literature"を国際製薬団体連合会(IFPMA)が承認したことにより実現したものです。この指針の中で第3相試験については全例学術雑誌に投稿するよう促しています。また投稿先についてもMedlineなどの学術データベースに採録されている雑誌と指示しています。臨床試験については、これまでClinicalTrials.Govなどのデータベースに登録されてきていますが、臨床試験の結果が査読のあるJournalに投稿されることで、情報へのアクセスがより良くなると思われます。
病院の立場からすると、医薬品の採用に当たって、Phase3の結果が学術雑誌で読めることはとても有益なことですが、新薬承認と論文公開の時期がどうなるか気になるところです。

ところでPubMedには”Type of Article”というFieldがあり、論文種別でlimitをかけられます。現在PubMedに収載されているClinical Trial, Phase III の論文数は5410件(2010/7/23現在。うち1238件弱がfree access)、今後の動きを注目したいと思います。


参考資料
STI Updates 6月28日付け
世界の製薬団体連合会、臨床試験結果の学術誌発表で合意
http://johokanri.jp/stiupdates/education/2010/06/004708.html

Drug Information Portal に新機能が追加されました。

Drug Information Portal はNational Library of Medicine(USA)が提供する医薬情報サイトです。患者向け情報から、学術論文、構造式等々、NLMの17の情報源を同時に検索できる、薬剤師さんにはとても有用なサイトです。Drug Information Portal に新たに追加された機能をご紹介します。



Show top "By Name" searches (previous seven days)

Show top "By Category" searches (previous seven days)

  • 過去7日間のトップ検索語を表示します。さらに、その薬品名を使った検索結果へリンクします。
  • 薬品について重要な論文が発表されたり、規制が変更になったりしたときに、面白い動きをしそうです。


Show top dispensed prescriptions in the US Market, 2008.

  • USAにおける2008年の処方上位の薬品名。そてぞれ検索結果へリンク。2008年の第1位はリピトールでした。

Drug Information Portal

http://druginfo.nlm.nih.gov/drugportal/drugportal.jsp

MeSHになった日本語・日本名

医学のあゆみ.233巻4号の特集は「“高安病”発見から1世紀−研究と診療のあゆみ」でした。
高安病はMeSHでもTakayasu Arteritis。他にもに日本人名や日本語でMeSHになったものがいくつかあります。Hashimoto Disease、Moyamoya Disease、Orientia tsutsugamushi、Shigella、等々。仙台在住者として忘れてならないのがSendai virus。ちょっと威張ってみたら知人から「埼玉もあるよ」と。なるほどhemoglobin Saitamaですか。
Entry TermsとしてはMinamata DiseaseやKawasaki Diseaseなどもあります。
他にもご存知の方がいらしたら、どうぞ教えてくださいね。

矢祭町「もったいない図書館」

「もったいない図書館」を見学してきました。図書室に勤めていることを話すと、職員の方が館内を親切に案内してくださいました。寄贈図書だけで図書館を作るということには、図書館関係者からは賛否両論があったかと思いますが、450000冊の蔵書をそろえた図書館ができたことは、かかわった多くの方のエネルギーが結晶したものでしょう。この数の図書を一気に登録、配架することを考えただけで気が遠くなります。県立図書館の指導で町民ボランティアが作業したとか。図書館内の窓ガラスには寄贈者の名前のシールが貼ってありました。
開架部分は他の公立図書館に比べるとややバランスが悪いような気はします。でも絵本・児童書が子どもたちにも使いやすい様に配置されていたり、ラベルの他に「私のイチ押し」「家読み」(借りて家で家族一緒に読んでね、という意味だとか。)などのシールが張ってあるものがあったり、図書館主催のイベントなど独自の工夫もあるようです。館内にあった「図書館だより」は37号、開館以来毎月発行している計算になりますね。図書館の他にも町内20数ヶ所に文庫を設置しているそうです。
閉架書庫の中には専門家も評価する貴重な全集類がたくさんあり、普通の公共図書館にはないような意外な専門書もみられました。多くの人が大切な本を寄贈してくれた・・と感じます。(OPACがあればもっと有効に使えるでしょう。)
残念なのは今でも町の図書購入予算がゼロであること。(そう言えば、開館当時他の自治体が「矢祭」を例に挙げて図書購入予算を削減しようとしたケースがありましたね。)これからのことについては町民の皆さんが決めていかれることでしょう。

案内してくだっさた職員の方がとても明るく生き生きとしておられたのが印象的でした。

ClinicalTrials.gov Online Training

ClinicalTrials.govの Online Trainingが公開されました。
ClinicalTrials.gov はNIHが提供する、172カ国、87,906件の臨床試験を登録・公開しているレジストリーです。日本のTrialは1443件登録されています。
このOnline Trainingは、Basic SearchからRSSフィードのセットアップまでの7項目をそれぞれ2〜4分で動画で説明していて、ちょうどPubMed Tutorialsのような感じです。
世界的な学術雑誌では、Clinical Trialに関する論文の投稿に際してレジストリーへの登録を義務付けており、日本でもUMINおける臨床試験登録システムUMIN-CTRなどがあります。

http://www.nlm.nih.gov/bsd/viewlet/ct/index.html
http://www.icmje.org/faq_clinical.html
http://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm

NII&CiNiiのTwitter

NIIとCiNiiがTwitterを始めました。あっという間にフォローが500件を超えて(NII)、話題になっているようです。それぞれのつぶやきの傾向が違っていて結構面白い。もちろん有益な情報が発信されていて、興味深いものになっています。海外では公的機関での活用も多く見られますから、日本でもいろいろな機関がチャレンジして欲しいと思っています。さまざまな手段で広報活動をするのは大切なことですよね。

『図解PubMedの使い方』改訂第4版が届きました。

『図解PubMedの使い方』改訂第4版が届きました。PubMedが新デザインに移行してからわずか数ヶ月、著者の皆様お疲れ様でした。そして、ありがとうございます。年度末で移動・退職する研修医への記念品に間に合いました。これからじっくり読んで4月からの新人研修に役立てたいと思っています。
初版から9年、図書館関係者のみならず医療関係者の大きな力になってくれてる本です。PubMedの解説書はほかにもありますが、さすがにデータベースを熟知している方々が書かれた本だなあ、と感心します。第1章で‘ばんっ’とMedlineのデータ構造を提示する見識に感じ入って(もちろん他にも)初版からずっと購入を続けています。PubMedは次々新機能を追加してきますが、出版後の変更点は、Webサイト(医学図書館協会サイト内)でのフォローをするそうです。
でもこれで、せっせとプリントアウトしたNLMのマニュアル(160ページ)はだれも振り向いてくれなくなりそうだな。

図解 PubMedの使い方―インターネットで医学文献を探す

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