できれば晴れた日に 自らの癌と闘った医師とそれを支えた主治医たちの思い

できれば晴れた日に―自らの癌と闘った医師とそれを支えた主治医たちの思い (へるす出版新書)

できれば晴れた日に―自らの癌と闘った医師とそれを支えた主治医たちの思い (へるす出版新書)

1年ほど前だろうか、ある日出勤すると、この本が机の上においてあった。出入りの書店さんが見計らいでおいていったものだ。意外だった。私が闘病記のようなものを読まないことはこの書店さんは良く知っているはずである。なにげなく裏返して著者略歴をみて驚いた。10年以上前に私の勤務する病院に当直支援に来てくださっていたドクターで、その後も講義に来ていただくなど、縁の深い方である。まだ働き盛りでもあった。
さて、この本は、40代で胃がんで亡くなった、元みやぎ県南中核病院呼吸器内科部長板橋繁先生の闘病記である。ただの闘病記ではない。再発を宣告された後、これを書くことを思い立ち、発症時からの日記を振り返り、感想や注釈、あるいは分析を書き加える形でつづられていて、治療に当たった医師たちも、その時の状況や、医師として、友人としての思いを書き込んでいる。ただでさえ向き合うのが困難な病気にあって、よくこれだけの作業を成し遂げたと、その強さに感銘を受けた。再発後もぎりぎりまで診療を続けられ、医学文献を読み、論文を書き、学会にも参加、頼まれた講演もこなしていたという。

勤務を終える日にこの日記も終わっている。最後の言葉に胸を打たれる。
いよいよこれで敗戦処理に入る。悪い闘いではなかった。」


追記:以前、下書きのまま保存していたものです。最近、Twitterでもこの本が話題になっているので書き直してみました。